DX人気の勃興を考える-人工知能バズワード波としてのDX(前編)

DXの歴史再学習
DXの誕生
2004年
ウメオ大学のエリック・ストルターマンが論文の中で提唱した概念として誕生
ストルターマンは「情報技術の浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」と定義し、下記の特徴を提示
- デジタルトランスフォーメーションにより、情報技術と現実が徐々に融合して結びついていく変化が起こる。
- デジタルオブジェクトが物理的現実の基本的な素材になる。例えば、設計されたオブジェクトが、人間が自分の環境や行動の変化についてネットワークを介して知らせる能力を持つ。
- 固有の課題として、今日の情報システム研究者が、より本質的な情報技術研究のためのアプローチ、方法、技術を開発する必要がある。
論文自体は「本論文は、よりよい生活のために技術を批判的に調べることができる研究の出発点として、適切な研究ポジションを確立する試みである」とあることから、研究へのアプローチ・方法論を述べた内容と理解できる
GoogleTrendを見ても、2017年にスパイクし始める前段階で、若干の検索ログが残っているのも、研究関連で検索が発生していたのではないかと推測されます。

日本国内でのデジタルトランスフォーメーション
2015年頃はIoTとインダストリー4.0というバズワードが滑って、いました。いかんせん、データをリアルタイムに貯めても、そこから先の活用先がないという状態で、分析業を主業とする私の元にも、データは貯めた!何やったら良い?(貯める部分で予算の99%使っちゃったので、分析に割り振る予算はないがな?)という斜めなご相談を大量にいただいていたのも丁度2015年でした。
どこもかしこもIoT、インダストリー4.0の話題ばかりで、私もさまざまな相談や質問を受けました。しかし、その多くが「IoTをやりたい」などに終始し、本来、最も大事な「それらを使ってどうするの?何のためにそれに取り組むの?」という目的が抜け落ちていました。今後のビジネスにおいて利益を出す体質になるための手段、ツールがIoT、インダストリー4.0であり、目的と手段を履き違えている人が多かった印象があります。
IoTナビ 2016年の記事より引用
IDC Japan社がデジタルトランスフォーメーションを以下のように定義、以降経産省のDX推進のためのガイドラインでも引用され一般的にはDX(IDC Japan社による定義がデジタルトランスフォーメーションの定義の主流となっています)
2017年
AIブームがピークアウト。2019年まで検索クエリ数が下降し続けます
IoTナビじゃんじゃないですが、
どこもかしこもAI、強いAIの話題ばかりで、私もさまざまな相談や質問を受けました。しかし、その多くが「AIをやりたい」、「AI欲しい」「AIならよしなにやってくれるに違いない」などに終始し、本来、最も大事な「それらを使ってどうするの?何のためにそれに取り組むの?」という目的が抜け落ちていました。今後のビジネスにおいて利益を出す体質になるための手段、ツールがAIであり、目的と手段を履き違えている人が多かった印象があります
2018年
DX(デジタルトランスフォーメーション)バズワードが本格化

経産省さんが2018年5月に研究会を発足し、DX推進の機運が高まったようです。
「デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会」を設置します
本件の概要
経済産業省は、産業界において戦略的なビジネス展開を進めていくために必要となるデジタルトランスフォーメーションを進めるために、課題及び対策を検討するための研究会(「デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会」)を開催します。
1.研究会の趣旨と背景
近年デジタル化の進展が急速に進んでいる中で、産業界においては、新しいデジタル技術を活用し、戦略的に新たな付加価値を生みだしていくこと(デジタルトランスフォーメーション)が求められています。他方、企業によっては、ITシステムの老朽化や、それに伴うITシステムの保守・運用コストなどの課題に直面しているとの声も聞かれます。このため、そうした課題やそれに向けた対策を検討することを目的として、本研究会を実施します。
2.スケジュール
第1回を5月中旬に開催し、順次進めていく予定です。なお、企業や委員各位による率直かつ自由な意見交換を確保するため、本研究会は非公開としますが、議論の途中経過を公表する予定です。
担当
商務情報政策局情報技術利用促進課長 中野
担当者:柴田、幸田、羽柴
電話:03-3501-1511(内線 3971~5)
03-3501-2646(直通)
03-3580-6073(FAX)
商務情報政策局情報産業課長 成田
担当者:和泉、佐藤
電話:03-3501-1511(内線 3981~7)
03-3501-6944(直通)
03-3580-2769(FAX)公表日
平成30年5月11日(金)
経済産業省 HP アーカイブページより引用
発足したのがいつかを調べるのにインターネットアーカイブを掘らないといけない経産省さん、もう少しDXしてもらいたい思いはありますね)後、いい加減和暦での記載もどうにかして欲しい思いはあります。
保持期間が5年で、これを超えるとDAT落ちする仕様のDXって一体…なんなんでしょうね(2チャンネルでしょうか)
Wikipediaで当時のリンクが残っていて(リンク切れ)、このリンクをインターネットアーカイブで掘るというのはいかがなものなのでしょう。
昨今でもデジタルトランスフォーメーションに向けた研究会の資料は参照される事が多いのですが、PDFのリンク(URL)の命名規則に日付を含んでおらず、ドキュメントにも日付記載がなく、それぞれのドキュメントへのリンクがないという鬼仕様、にも関わらず、PDFだけDAT落ちしていないという、もはや何がしたいDXですかという状態なのは、経産省さんもDX頑張って下さい!としか言いようがありません。
デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会 資料アーカイブ
経産省さんのHP上でもそれぞれのPDFがいつの会議の物で、誰が参加していたのか、全く謎になってしまっているので、少しだけ書加工したリンクを残しておきます。
デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会
3回(2018年7月5日)
議事要旨 (PDF形式:174KB)
第4回2018年8月23日
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/pdf/004_gijiyoshi.pdf
2018年9月7日 中間取りまとめ やっとDXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~のレポートがどういう背景で構成されたかを理解できました。
DX推進企業は儲かってる!
日本企業の生産性(労働生産性としての正しい定義の言葉ではない言葉遊びとしてお許しください)を上げたい、経産省さんとしては、とっても良い情報をGET!したんだと思います。

自社の部下がこんなグラフ持ってきて、ですから!弊社でもDXなんです!って言いだしたら、相関因果ちゃんと考えてる?ってお話で説教を小一時間位するところだとは思います。『新製品出せて、コストカット出来て、利益が出せて、顧客からのロイヤリティーも厚い余力のある企業だから』DXに取り組めてるんであって、DXに取り組めば『新製品出せて、コストカット出来て、利益が出せて、顧客からのロイヤリティーも厚い余力のある企業』になれる?ってお説教タイムになりそうですね。
DXを進める上での課題

コストの問題だけではなく、アーキテクチャーデザインの問題にもつながるのですが、セキュリティーポリシー等が、技術的負債となって大きくのしかかってしまっている企業様は日本にはかなり多い印象があります。
アメリカvs日本
昔、とある箱崎の大手企業に所属していた時の思い出話ですが、日本の企業は不景気だと、情報系への投資を一気に減らす、アメリカは不景気だと情報系投資をやたらに増やすという差を教えられたことがありました。(つまり、不景気なんだから情報系のソフト売れるだろ!もっと売れ!というお話)
日本企業の在米子会社の方がSFA関連の投資や運用が進んでしまっていて、日本本社がアメリカと同じ事をするためにSFDCを導入するんです!という順序が真逆な案件があったのを思い出す程なのですが、日本の特徴は景気が良くなってきてから情報系のIT投資(アメリカのまねっこ)を行う癖があるような印象はどうしても否定できません。

ただし、アメリカではDXよりもAIが圧倒的に注目され続けています。

とは言え、アメリカの画像系AI、ロボットっぽい何かに対するIoT投資合戦は参戦しないで良かったですね、というのが印象だったりはします。コストの割にリターンがほぼ皆無なユーザーシナリオでしたので、米国での失敗と撤退は記憶に新しいところです。
amazon dashもひっそりと
AI屋さん泣かせだったり、個人的に興味を持てない事もあるのですが、携帯電話に機能搭載するだけで十分では?となるサービスやROIが見出せない技術にはどうしても飛びつく気になれないので、まぁ、仕方ないかなと言う思いはあります。
それだけアメリカの景気が良く、投資先がなかったんだろうなぁと言う印象だったりします。
敵は老朽寺にあり!
老朽化・複雑化・ブラックボックス化したシステムの残存がDXへのシフトを妨げている。のは分かったのですが…ここから先の打ち手がいけなかったのかもしれません。

IT業界ひゃっはー!な結論

DX推進プロジェクトが残念な結果に終わってしまっているケースが多いのは、この最後のスライドが大きいのかもしれません。
そう、『ITシステムの老朽化』までは良かったんです。では次の一手を、システムのクラウド上の再構築と、塩漬けのための仕分けにしちゃった。
デジタルトランスフォーメーションの失敗原因は経産省にあり
2018年の文書をディスっても仕方ないので、時間を見つけて最新のドキュメントを読む予定ですが、どう考えてもこの流れでのデジタルトランスフォーメーションの実行は、単なるIT予算の無駄遣いになりそうで、実際にDXで蓋を開けたらレガシーの焼き直しやんけ?と社内で言っている人が多量に発生しているを見るにつけ…もしかしたら…原因はここにあったのかもしれません。

おまけ:法人名寄せマスター番号の発見
経産省さんのHPを確認していたら、NTT DATAさんが構築したと思われる(マニュアル内のサンプル企業が、エヌ・ティ・ティ・データとなっていただけなんですが)
gBizINFO というサービスを発見しました。
企業保有の取引先データ名寄せは、この法人番号を利用するのでだいぶ楽になりそうです。CSVをアップロードする事で番号を附番してくれるので、結構楽に自社DBのクリーンアップが実現できますね。
営業用のアタックリストに使えるかと思ってみたのですが、そこまで甘くはなかったみたいですが、APIも開放されているので、SFDCのマスターデータのクレンジングをするなら、かなりお手軽に使える事と思います。
また、官庁だけに、データの入手速度が高速である点もメリットがあり、登記されたばかりで与信調査が行われていないから、登録されていないような事は発生しないのもメリットの一つかもしれません。
おまけ2:文字コード統一システム(過疎ってないかは要確認)
また、名寄せの際に頭の痛い文字コードの揺れもIMIでかなり解決できそうでした。(情報がUPDATEされていないので、もしや過疎った?)というのが心配点ではありますが。
DXとは関係ない話(自然言語処理ガチ勢なら3秒で分かる事)
さて、ここまでDX、AIとまじめなお話をしてきましたが、深夜でもありますので、〇ネタをひとつ(でも真面目な自然言語処理の問題です)
日本人が大好きなキーワードですが、検索数が2015年12月→2016年1月に急激に検索数が伸びています。
- このキーワードは何でしょうか?
- この急激な変化の原因は何でしょうか?
ヒント:日本人の趣味が突如として変わった??某有名なタイトルが出た?
ヒントを読まなかった人だけが正解できる高難易度な問題です
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正解できたあなたは!明日からデータサイエンティストです!
