顧客データは生野菜!?ーAI時代に問われるデータの鮮度管理

あと3か月もすると新入社員が入社してくる季節。あなたの会社の顧客データベース(CRM/SFA)は、今どんな状態ですか? 「うちは最新のAIを入れてるから大丈夫」なんて、高を括っていませんか?

実は、使い始めて1年も経てば、データは目に見えて「汚く」なり始めます。 そのまま2年も放置すれば……。 データはあちこちでねじれ、同じお客様の情報が3つも4つも重複し、もはや「ゴミ箱」寸前。

3年目。意気揚々と新規開拓の電話を始めた新入社員が、こんな悲鳴を上げます。 「先輩、これ……すでに数千万円の取引がある既存の大手様に『はじめまして』って電話しちゃいました。大クレームです……」

相手の担当者からは、 『お宅、AIエージェントを導入したって言ってたのに、中身は空っぽなの?』 なんて嫌味を言われてしまう。これ、2026年の今、あちこちの営業現場で起きている「悪夢」です。


なぜデータはこれほどまでに「腐る」のか?

顧客データベース劣化速度インフォグラフィック - 年間30%のデータ変動率と3年間の劣化プロセスを図解

今日は目を背けたくなる「実態」の話をしましょう。

  • 個人情報の変動率: 年間約10%(引越し等)
  • 法人情報の変動率: 驚きの年間25%〜30%!

「会社はそんなにすぐ動かない」というのは、一昔前の話。 2026年現在、労働市場の流動化(転職・異動)はピークに達し、担当者の役職は1年もすれば変わります。 さらに、ゼロゼロ融資後の淘汰物価高による「倒産・合併」が相次いでいる現状、データベースは放っておくだけで毎年3割が破損していくのです。

AI時代、汚れたデータは「ハルシネーション(嘘)」の温床に

今の時代、データが汚れていることの罪は「営業効率の低下」だけでは済みません。 RAG(検索拡張生成)やAIエージェントにその汚いデータを読み込ませてみてください。

AIは、重複した古い情報と新しい情報の区別がつかず、平気で「もっともらしい嘘」を顧客に送りつけます。 「Garbage In, Hallucination Out(ゴミを入れたら、AIが嘘を吐き出す)」。契約関連の情報で嘘が含まれている場合、日本では法整備が遅れていますが、カナダではAIがついた嘘も企業責任という判例もあり、使い方を間違えると、サポートセンターのコストを抑えたコストが、補償費に消えてなくなるだけでなく、お客様に迷惑をかけることになり、企業レピュテーションの低下の原因にもなります。これが2026年の新常識です。

#とはいえ、AWS以外の外資系ベンダーさんたちや、携帯会社さんたち、総じてサポートセンターの直接電話番号とか、問い合わせメールとかを隠してChatBotで無理やり代替している傾向があって、利用者側としては辛いですよね。

過去コールセンターの分析をしたことがあり、1顧客数の入電件数を観察していた時、1か月に2000回を超える入電をされていたお客様がいらしゃった(複数名)のを思い出すと、電話番号を公開したくない気持ちも分かるのですが…


「データメンテナンス」を嫌がる企業に未来はない

データベースマーケティングを導入する際、私が必ず予算計上をお願いするのが「メンテナンス費用」です。 実は、システム使用料よりもこちらの方が重要。

  • 定期的なメール配信によるアドレスチェック
  • 年に数回のコールチェック(生存確認) ※無音チェックは2026年では使えません
  • 帝国データバンク等の外部DBとのAPI連携

一回あたり数百円のコストですが、これを「もったいない」と嫌がる企業様が本当に多い。 『うちは営業マンが手入力してるから大丈夫!』 『見込み客の整理に金なんかかけられない!』

……そうおっしゃる経営者の方もいますが、今やそれは「腐った食材で一流料理(AI戦略)を作れ」と言っているようなものです。


2025年法改正の影:放置データは「負債」でしかない

さらに怖いのがコンプライアンス。 2025年の個人情報保護法改正を経て、「不必要なデータを漫然と持ち続けるリスク」は劇的に高まりました。

何年も連絡を取っていない「幽霊顧客」のデータを放置し、万が一漏洩した時。 「なぜ不要なデータを消さずに持っていたのか?」という企業のガバナンス責任が、これまで以上に厳しく問われます。 クレンジングとは、単に住所を直すだけでなく、企業の身を守るための「聖域なき整理」でもあるのです。


結論:データは「石油」ではなく「生野菜」である

20年前、「データは新しい石油だ」と言われました。 でも、2026年の感覚では違います。データは「生野菜」です。

採掘して貯蔵しておけば価値が上がる石油とは違い、データは放置すれば腐り、エラーという悪臭を放ち、AIという高性能エンジンを故障させます。

付随効果ではありますが、メールや電話で定期的にメンテナンスをしていると、「ちょうど今●●の件で悩んでいたんだ」という相談が舞い込み、必ずと言っていいほど売り上げにもつながります。

毎年30%劣化するデータを「手入れ」し続けるか、それともAIに嘘をつかせ続けるか。 あなたはどちらを選びますか?

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