ChatGPTが開けてしまったパンドラの箱…SI業界人月ビジネスは崩壊するのか

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生成系AIが開けてしまったパンドラの箱

 ChatGPTをはじめとする生成系AI技術はパンドラの箱を開けてしまった。現存するテキストデータを全てコンピュータに学習させる事で、『もっともらしい』文章を自動生成してくれるこの技術は爆発的な進化速度で社会を変革しようとしている。

 テクノロジーの進化が、我々の知覚を超えた未知の領域へと突入したと言っても過言ではない。言い換えると、「シンギュラリティー」が到来したと言う事が出来るかもしれない、と最近考えるようになってきた。

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Photo by David Bartus on Pexels.com

シンギュラリティーとは

 シンギュラリティーとは、テクノロジーの進歩が指数関数的なスピードで進行し、人工知能(AI)やバイオテクノロジー、ロボティクスなどが融合し、人間の能力や知性を超える次元へと進化するとされる概念である。これは、レイ・カーツワイルが提唱し、テクノロジーと未来の展望に関する刺激的な議論を巻き起こしてきた。

 第3次AIブームの頃は、当職も『AIポエム』として、起きるはずがないと考えていたのは言うまでもない。

シンギュラリティーの影響

シンギュラリティーの到来が現実となれば、その影響は計り知れない。人工知能が複雑なタスクを超え、人間の脳と同等かそれ以上の能力を持つようになれば、医療分野や科学研究、経済の仕組み、社会のあり方など、ありとあらゆる分野に革命をもたらす可能性がある。

SI業界に訪れたシンギュラリティー

NTTデータが生成AI使うシステム開発手法を全技術者に展開、人月型契約が見直しに

NTTデータが生成AI使うシステム開発手法を全技術者に展開、人月型契約が見直しに | 日経クロステック(xTECH)

 NTTデータは顧客向けのシステム構築に生成AI(人工知能)を本格導入する。生成AIを利用したシステム開発手法やツール群を社内で整備し、2024年度から国内と海外ともに開…

NTTデータは法人向けシステム構築に生成AI(人工知能)を本格導入する。生成AIを利用したシステム開発手法やツール群を社内で整備し、2024年度から国内外の開発部門に展開する。

 NTTデータは業務システム開発に携わるエンジニアが国内と海外を合わせて約10万人在籍する。生成AIを使う開発手法を全エンジニアに習得させ、営業など関係する職種も含めて全社員19万5000人が利用できる体制を目指す。

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/02423/073100046/

 2023年(今年)からではなく、2024年からの予定を2023年7月にリリースするあたりが、NTT DATAさんらしいと言えばらしいが、『生成AIを使う開発手法を全エンジニアに習得させ、営業など関係する職種も含めて全社員19万5000人が利用できる体制を目指す』と言うあたりが、かなり大きな改革を意図している事を予想させる。

アジャイル開発で工数を7割削減

と言うように、これまで10億円かかっていたプロジェクトが3億円で完成してしまう事を予感させる情報も出始めており、これまでの人月100万円、150万円、500万円…となっていたような人月単価ビジネスが一気に崩壊しそうな状態にもなってくる事も想定される

 全社員19万5000人(+パートナー企業のワーカーの人数)x人月単価x12カ月≒年商であった見積算定根拠が一気に崩れる事と等価となる。

 これまで通りの人月単価で、工数が7割削減された場合、必然的にNTT DATAさんの売上は7割減と言う事になるが、そのような事になった場合は、アッと言う間に、SIerと呼ばれていた業界が消滅する事を意味する。短期的にはありえない話ではあるが。

SaaS時代でも発生していたパラダイムシフト

 SFDCの開発は、基本機能がSFDCに存在して、後の追加設定を行うだけであったため、人月単価でみると500万とか1000万になる物の、出来上がる物は同じなので、人月では計算しないでください!と言う無茶なトークをしていた記憶があり、実は労働を守るために、成果物の価値に対して金額を設定する料金体系にシフトする物思われる。(現時点でどのように算定するのかが謎なのと、一部のベンダーが、GPTで浮いた工数をそのまま値引きに使ってくると言う無茶が発生する可能性もあるため、一概には想像できない)。

 SFDCが実際に大人気である昨今では、SFDCの開発において、『人月単価』で見積を出すベンダーは存在せず、『機能の設定』に対してのチャージ設計になっている事を考えても、営業のやり方次第では、少ない工数で多くの利益を生み出すキャッシュマシンとして機能する事が考えられる。

I業界人月ビジネスの未来大胆予想!

 20年後、30年後の想像は難しい物の、景気後退が発生するまでの、1~5年位は、工数削減は実現したとしても、初期想定工数で課金をすると言うビジネスが展開される事が推測される。

 大きな景気後退の波が来た場合、かつ単価のたたき合いが発生した場合は、実際に人が稼働しないのであればお金は支払いたくない!と言う企業側の声が強くなり、削減された時間x人月単価での課金が発生し…既存のSIベンダーが大量倒産する事態が発生する可能性も若干残っていると言う点が現状となる。

 実際には、開発に対して、お客様のニーズ調整や、納品後の微調整が永続的に続く事のほうが多いため、人員や必要工数が削減できるかどうかは…実務を経験した人間からすると、眉唾物である点も否めないため、現時点では想像が難しい点は最後に言い訳しておく。

経済と雇用の変革

 シンギュラリティーの到来によって、SI業界をはじめとする労働市場や経済の仕組みも大きく変化すると思慮するが、一部の業種や職種が影響を受ける事は必須で、これはAI失業者大量発生前夜!2023年に到来する人工知能による失業の実態を大胆予想!でも書いた通りで、既にライター業やデザイナー業はChatGPTをはじめとするGPT技術に大半の仕事を奪われているのは事実である。

 では本当にシンギュラリティーが到来した場合、社会の変容、私達の生活はどうなるのか?が気になる所でもある

 シンギュラリティーは、社会のあり方にも大きな変革をもたらす可能性があり、人間とAIの共存や倫理的な問題、プライバシーの保護、デジタル社会におけるリーダーシップの再定義など、様々な課題想定される。新たな価値観や社会的なルールの確立が求められる時代となる。

次回予告

 未来の先に広がるシンギュラリティーの到来は、私たちの想像を超える物になる可能性は高いが、基本的に、現在、シンギュラリティー到来後と似た社会構造を持つ国が若干ではあるが存在している。次回はその『未来の国』の社会情勢を考察しながら、シンギュラリティー到来後の未来の世界を推察してみたい。

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